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【読書】科学的に正しい筋トレ最強の教科書

09/13/2020

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はじめに

この本の著者である庵野拓将氏は、理学療法士で大学病院に勤務されている方だそうです。
アスリートトレーナーとしても活躍されているそうです。
最終学歴は、博士(医学)で研究テーマまでは書かれていませんが、本書を読む限りでは、筋トレ関連の体作りがメインなのだと思います。
ここまで、沢山の科学的文献に支持された筋トレ本は今まで見たことありませんでした。

タイトルにあるように、科学的に筋トレを分析したい方には必須の本であると言えます。
わたしは、それほど筋トレに興味があるわけではありませんが、体作りは全てにおける資本ですので、どんな方が読んでも自分自身に活かせる情報があると思います。

久々に簡単にページをめくって見ましたが、他の筋トレ本とは一味も二味も違う本になっています。
また、筋トレの方法や継続の仕方など、筋トレにまつわる様々な事項が記載されています。
特に筋トレ好きにはオススメですし、見方を変えれば健康本です。
そのため、健康を意識したい方にとってもオススメです。

科学的であるということ

本書のタイトルにあるように”科学的”とはどのような事なのでしょうか。
一言でいいますと”再現性”があるということです。
再現性があるということは、同じ実験を何度行っても、大きな確率で同じような結果になるということです。

医学での例えであれば、子宮頚癌(だけではありません)を予防するHPVワクチンというものがあります。
このワクチンを打つことで、子宮頚癌での死亡率が減少するとされています。
日本でも、一時期HPVワクチンに関してはメディアが大々的に副作用を報告しましたので、その影響でHPVワクチンが廃れてしまいました。
エビデンスという観点からは、HPVワクチンの妥当性が支持されていますが、実際の国民の認識としては怖いという結果になっているのではないでしょうか。

エビデンスというのは”絶対的な力”を持ちません。
エビデンスの最高峰とされる根拠が、ランダム化比較試験です。
このランダム化比較試験を行っても、ある一定の方には効果がありません
ただし、対象とされたグループにおいては、集団としての効果が対照群と比較して”偶然では説明できない程に差がついた”という事です。

本書の筋トレで言えば、1つ1つの研究結果を実践することで、高い確率で筋肉がつくと言えます。
ただその中には、効果が乏しい方もいらっしゃると言うことは現代における研究の限界です。
今後は遺伝子単位で医学は進行していくことが予測されます。
筋トレも、遺伝子レベルで筋肉がつきやすいなどの報告も出てくるかもしれません。
繰り返しますが、現存する科学的根拠としては、本書に掲載されているもの+αが限界であるということは認識しておく必要があります。

とはいえ、筋トレを科学的に分析しようと思う人は、ごく一部の方しかいません。
見た目で筋肉がついてきたとか、バーベルを○Kgまで持ち上げられるようになった、体重が○Kg減った、などで十分なのです。

高重量で低回数か低重量で高回数か

以前の常識では、高重量が効果的だったそうですが、近年では低重量でも回数を増やすことで筋肥大には効果的であることがわかっているようです。

たとえば、50Kgのベンチプレスを10回行うのと、25Kgを20回行う場合では効果が同等であるとニアリーイコールのようです。

つまり、運動強度ではなく総運動負荷量が重要という事になります。
これなら、続けられる人もいるのではないでしょうか。

蛋白質の摂取

タンパク質は筋肉を作るうえで、重要な栄養素とされています。
医学の領域でも、高タンパクが近年推奨されるようになってきていますが、死亡率改善効果といった明確な根拠までは無いのが現状です。
医学の世界でも、栄養は最も基礎的な部分なのですが、明確な根拠が出揃っていないというのが現状です。

摂取量の目安

とはいえ、栄養に関する研究も沢山行なわれています。
各ガイドラインにより蛋白推奨量は異なりますが、平均的に1.5g/kg程度が目安だと思っています。
通常の生活でしたら、1g/kg程度が目安ですので、体重60kgなら60g程度のタンパク質摂取は最低限摂取されるべきかと思います。

プロテインとして摂取する場合は、有名なマイプロテイン®の場合は、1回で約18g程度の蛋白摂取が可能とされています。
食事での蛋白摂取量と併せて、プロテインなどの補助食品を摂取する事で不足しがちな蛋白摂取を行うことが可能になります。

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サルコペニア

医学の世界でも、特に高齢者ではサルコペニアといって、筋肉が萎縮することで通常の生活が送れなくなるケースが問題となっています。
高齢者こそ、タンパク質を意識して摂取できると良いのだと思います。

個人的な臨床の疑問(クリニカルクエスチョン)は、サルコペニアのある高齢者の入院でタンパクメインの食事に変えることで、筋力や機能・生命予後は改善するのかという事は、医療従事者が持つテーマの1つなのではないかと思います。

そもそも、高齢者は食事摂取量が低下していますので、相対的に蛋白摂取も低下します。
そのため、少ない食事摂取量で多くの蛋白摂取である事が理想です。
以前のプロテインは、一部のボディビルダーのみがまずいタンパク質を筋肉のために摂取していた様に思います。

しかし、近年はプロテインも味付けが豊富になり、非常に飲みやすくなっています。
高齢者でも、気軽に(少量で)薬を飲むように、タンパク質を摂取できるようなものを作っていただけると良いのですが。
臨床的には、そのような商品を是非期待しています。
今度相談してみようと思います。

タンパク質摂取時期

蛋白摂取時期には、ゴールデンタイムという概念があり、筋トレ後30分以内というのが常識でした。
しかし、本書では筋トレ後24時間以内なら可という事です。
適切な摂取時期としては、特に夜間は睡眠により絶食期間が長くなりますので、睡眠前摂取が最も良さそうです。
個人的には、夜の食事摂取量が多くなりがちなので、朝摂取しています。

蛋白摂取量

蛋白摂取量は、年齢・体重・トレーニング内容で決まるとされています。

高齢者の場合は、筋肉合成率が低下しますので、タンパク質は高齢者ほど多く摂取する必要があるといえます。

体重60kgの場合

・若年者の係数の平均値0.24g x 体重60kg = 14.4g
・高齢者の係数の平均値0.4g x 体重60kg = 24g

高齢者はトレーニング後、倍量の蛋白摂取が必要とされています。

蛋白摂取による腎臓への影響

腎臓病食は現代でも、低たんぱくに設定されているケースがあります。
たしかに、非透析患者さんで慢性腎臓病が進行しているケースでは蛋白質を制限したほうが良い場合もありますが、基本的は腎臓が悪い方でも同じです。

また、蛋白摂取自体が慢性腎臓病のリスクになるともいわれていますが、現代ではそのような根拠は乏しいのが現状です。
よって、腎臓が多少悪くても、透析患者さんでも蛋白は摂取して頂いています。
とはいえ入院中の場合ですので、腎臓の悪い方は、血液データなどを参照しながら、担当医師の指示に従い蛋白摂取を行った方がよいと思います。

そもそも筋肉にはよいはずの蛋白質ですが、腎臓が悪い場合はなぜダメなのでしょうか。

タンパク質は摂取後分解されると、アンモニアが発生します。
最終的には尿素窒素という形で腎臓から毒素の一部として、尿として排泄されます。
つまり、腎臓が悪い場合には腎臓からの尿素窒素の排泄障害が起きてしまう可能性があるということです。

食事からのタンパク質摂取

一般的に赤い肉(4本足動物の肉)や加工肉は体に良くないといわれています。
具体的には、がんや糖尿病の罹患率を上げてしまうとされています。
そのため、筋トレを行う人が好んで摂取している鶏肉が最もよいとされています。

鶏肉>魚>赤い肉>加工肉 といった順番で体によいとされていますので、筋トレ食と健康とは表裏一体と言える関係性にあるのかもしれません。
高齢者の筋力低下(サルコペニア)も死亡率増加や生活の質を低下させますので、健康な高齢者は卵や鶏肉・魚などよいとされているものの摂取が、(意図的かどうかは別として)多いように思います。

中年になると体重が増加して、お腹がでて、という方が多くなります。
高齢者になると、今度は痩せてきます。
これは、食事摂取量の減少や運動量の減少に伴う、筋力低下やエネルギー摂取不足が問題です。
食欲低下の原因となる病気の場合もありますが、認知症などで食欲自体が低下しますので、食と健康もまた当然ですが表裏一体の関係性です。

筋トレにおけるメリット

死亡率改善効果と、がん罹患率の減少効果が示されているようです。
つまり、筋トレの効果は筋肉がつくことで、余分な体の脂肪が減少し、筋肉が増強することで、健康的な生活を送る事ができる。

さらに、筋トレを行うと食事も重要になりますので、より健康的な食事摂取を行う。
ここから先はわたしの仮説ですが、これらの健康的な結果、総合的に死亡率減少効果が示された可能性があるのではないでしょうか。
また、運動と認知症との関係性など、運動と筋肉は切っても切れない関係です。
運動は最も基本的な健康への第一歩ですが、食生活にも依存しますので、トータルに改善効果が見られた可能性があると思われます。

最大心拍数

最大心拍数

・220 − 年齢
・208 - 0.7 x 年齢

この本を読むまで、220−年齢が最大心拍数だと思っていました。
けれども近年は、上記の式が採用されているようです。

これだと、40歳の場合

・220−40=180
・208-0.7x40=180

と40歳の場合だと同じ数値になってしまいました。

80歳の場合

・220−80=140
・220−0.7x80=152

と多少異なりますが、だいたい同じ位にはなりそうです。
やや計算も煩雑ですので、だいたい220−年齢位の認識でも良さそうです。

近年は心拍数も腕時計などで計測可能となっていますので、自分の最大心拍数をこの式より算出し、運動時の目安にすればよいと思います。

まとめ

  • 筋トレは、死亡率改善効果がある
  • タンパク質の摂取を意識する
  • 筋トレによい事(運動・食事)は、健康にもよい

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  • この記事を書いた人

R-NURSE

関東地方の総合病院で働いている、臨床看護師です。救急系の集中治療室を経て、現在総合診療内科勤務です。診断とか研究とか、投資とか興味は色々です。

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