著者の森田麻里子氏は、東京大学医学部を卒業された、現役の医師です。
そして、お子さんもいらっしゃいます。
Kindleでセールのため、購入したのですが良い意味で期待を裏切られる結果となってしまいました。
類似書籍として、ベストセラーとなった中室牧子氏の、「学力の経済学」を彷彿とさせるような内容と、展開でとても興味深く拝読しました。
過去、子育て本は沢山読んできましたが、これほど科学的に裏付けられた書籍はなかなかないです。
通常の子育て本は、体験本であったりすることが多いのですが、突出してこの本は引用された文献が多いです。
なんと引用された論文は192個で、もはや質の高いReview articleです。
それでは、その内容を振り返りたいと思います。
目次
第1章:ママになる人が本当に気をつけるべきこと
葉酸と鉄の補充
妊娠を考えている女性の方は、様々な情報があり、まさに情報過多の状態です。
しかも、第一子の場合は、ホントに何もわからず、あたふたしてばかりです。
そんな妊娠を考えている方が読むような本には、たいてい「葉酸」と「鉄」摂取の重要性について書かれているような気がします。
これらは妊娠の計画がある女性の方にとっては、科学的に裏付けされた、やらなければならない対策といえます。
通常妊娠すると、月経が消失します。
1回の月経で約50mlの血液喪失だとして、10か月で500mlなので、出産時には約500mlの血液喪失をすると憶えた記憶があります。
妊婦さんの場合は、二人分ですので血液を濃くしたり、心臓の拍出を高めたりして、体は適応しようと変化します。
葉酸の摂取量としては、妊娠1か月前から妊娠3か月までが推奨されています。
サプリメントとしての摂取量は、1日400μgとされています。
葉酸の摂取
神経管閉鎖障害という先天異常を予防するために必要とされています。
葉酸を摂取することで、そのリスクを50−70%減少させます。
しかし難しいのは、いつ妊娠するかわからないものですので、このあたりはそれほど気にせず、予定のある方は意識的に摂取する程度で良いのだと思います。
また、葉酸は妊娠率を高める効果もありとされ、男性でも亜鉛との摂取で効果を示した研究もあるようです。
妊娠後期には、葉酸摂取の利点はそれほど無いようですので、食品からの摂取でも良いようです。
鉄の摂取
鉄は通常、主に出血に伴う貧血で摂取することで、貧血を改善させます。
鉄は、血液を作るための材料ですので、材料が不足すると貧血になります。
しかし、妊娠中の場合は貧血がなくとも、脳や体の発達に大切であるとされています。
母親の鉄欠乏性貧血は、子供の発達に影響を及ぼします。
著者は、妊娠中期以降は、10−30mgの鉄の摂取をオススメしています。
また、鉄剤の種類もヘム鉄を推奨しています。
非ヘム鉄は吸収が悪いようです。
予防接種
ワクチンに関しては、不要論であったり、過剰な副反応が取り沙汰されており、怖いものであると言った印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ワクチンがなければ、免疫を獲得できませんので、多くの感染症に罹ってしまいます。
感染症に罹るということは、最悪死に至りますし、回復したとしても合併症に生涯苛まされながら生きていく可能性もあります。
また感染症に罹るということは、インフルエンザのように他者への感染も問題となります。
インフルエンザは、飛沫感染ですので、手洗いをしっかりしていれば、罹りづらくなりますが、麻疹・水痘のような、特に空気感染を来すような感染症では、すれ違っただけでも罹ってしまいます。
感染症にかかれば、医療機関を通常受診します。
医療機関を受診すれば、当然医療費の高騰へと繋がります。
この様な負の連鎖を断ち切るのが、ワクチンですので、安全性が担保されているワクチンに関しての接種はもはや権利ではなく義務であるといえます。
世の中には、ワクチン不要論などが蔓延っていますが、何がしたいのか意味がわかりません。
また、集団でワクチンを打つ事で、集団としての免疫がつきますので、感染症をそもそも発症しなくなります。
その状態が、現代の日本であると言えます。
しかし、日本はワクチン後進国と言われています。
しかし、近年は欧米と同じ様なワクチンの種類やスケジュールにしようと、随時専門家達が頑張って、改定されています。
ワクチン不要論を唱える方々は、ワクチンを接種している人達がマジョリティであるからこそ、感染症にかからないということを自覚してほしいものです。
そもそも、ワクチン不要論者は、自分自身はワクチンを接種しているという噂もあります。
指定されたワクチンの未接種は、自分自身だけの問題であれば良いのですが、他者への問題が大きく降り掛かってきます。
指定されたワクチンを接種しないということは、狂犬病に罹った犬を野放しにしているのと同じで、周りの人々は常にリスクを負うことになります。
妊娠前の摂取は、以下の4種類
- 麻疹(はしか)
- 風疹
- 流行性耳下腺炎(おたふく)
- 水痘(みずぼうそう)
妊娠中の摂取は、以下の2種類
- インフルエンザ
- 百日咳
妊娠中に摂取できないワクチン
<生ワクチン>
- 麻疹
- 風疹
- 流行性耳下腺炎
- 水痘
などです。
これらは妊娠前には接種が推奨されていますが、妊娠後は接種できないため、妊娠の予定がある方は事前に接種しておいたほうが良さそうですね。
生ワクチンとは、生きたウイルスを弱毒化させたものですので、体力が弱まっていると悪さをする可能性があります。
以前ポリオは生ワクチンでしたが、便の中に当然でてきますので、母の手洗いが不十分だと感染リスクが増えるとされています。
避けたほうがよい5つの食品
- 加熱殺菌していないナチュラルチーズ
- 肉や魚のパテ
- 生ハム
- スモークサーモン
- 生肉
リステリアとトキソプラズマ
妊娠中に怖いのは、リステリア菌です。
妊娠中はリステリア菌による食中毒のリスクが20倍に増加するといわれています。
リステリア菌は加熱殺菌できますが、塩漬け食品や冷蔵庫の中でも繁殖可能です。
輸入品のアボカドの18%には、皮にリステリア菌が付着していたという報告もあるようです。
免疫不全のリスクを伴う、65歳以上の高齢者もリスクといわれています。
<加熱不十分な肉では、トキソプラズマのリスクが上がる>
妊娠中にトキソプラズマにかかると、先天性トキソプラズマ症により流産や子供の眼や脳に障害がでる可能性があります。
最近はペットを室内で飼育している家庭も増えていますが、猫を飼育している方では、トイレ掃除は可能な限り避け、土に触れる際には手袋・マスクの着用を推奨しています。
妊娠中のアルコール摂取
アルコールが好きな方にとっては、あまり良い情報ではありませんが、アルコールは少量でも避けたほうがよいとされています。
比較的多めのアルコールでは、顔の奇形、成長障害、脳障害などの、胎児アルコール症候群以外などが起こりますが、少量の飲酒でもおこる、胎児性アルコール・スペクトラム障害が起こる可能性があります。
スペクトラムとは、ある/なしの二元論ではなく、程度問題でですので人により幅をもたせた概念であるといえます。
妊娠中のカフェイン
心拍数の変動や、出生体重が低くなるリスクが僅かに上昇する可能性があるとされています。
カフェインは一日200−300mg程度までなら可のようです。
デカフェインタイプですと、カフェイン含有量はごく少量ですので、妊娠中はリスク避けるのであれば、デカフェインタイプの方が良いのかもしれません。
妊娠中のDHAの摂取
結論はついていないようです。
イワシやサバなど、比較的小型のに多く含まれるとされています。
ただし、妊娠中の魚を摂りすぎると、妊婦はメチル水銀の過剰摂取も問題になるため、マグロ・メカジキ・キンメダイは週1回程度にしたほうがよいとされています。
当然ですがメチル水銀は、食物連鎖の後半になるほど(大きな魚程)蓄積されるリスクがありますので、寿命が短く食物連鎖の低位の魚が安全とされています。
具体的には、サケやサンマなどです
外国産のものでは、工業国が多いイコール海洋汚染のある北半球より、南半球で取れたもののほうがよいとされています。
第2章:母乳育児の「神話」を真に受けないために
授乳中のアルコール摂取
母乳中のアルコール濃度は、母親の血中とほぼ同じになります。
当然ですが、お酒は二十歳になってからとされているように、若年者のアルコールは有害とされています。
これが、乳児ともなればその影響は多大なものになると思われますが、アルコール摂取の影響は一定の見解が得られているわけではなさそうです。
ある研究では、成長してからの認知能力の低下が示されています。
授乳中のカフェイン摂取
コーヒーの摂取は、子供が6か月を過ぎたあたりからは、2−3杯であれば良さそうです。
さらに、母乳中への移行を少なくするために、授乳直後に飲むなどの対策で、必ずしも摂取してはならないということではありません。
そのため、適度ににリラックス出来るよう工夫するのが大切と言えそうです。
個人的には、リスクのことを考慮するのであれば、デカフェインタイプで凌ぐのも折衷案としてはよいのではないかと思います。
ただし、嗜好の問題ですので舌が受け付けない場合は、著者のおっしゃるように2−3杯までと決めて飲んでも良さそうです。
乳腺炎との関連
餅や脂などは乳腺炎のリスクになる、という古典的な噂があります。
実はこれ、まったくの嘘のようです。
あまりにも、当然の如く伝承されていますので、少しは根拠があるものかと思っていましたが、全く根拠が無いようです。
母乳で全ての栄養がまかなえるか
母乳中には、ビタミンD/K、鉄分が不足しています。
ビタミンDの不足が近年明らになっていますが、その一因として卵アレルギーを恐れた結果、卵の摂取が不足してしまうということもあるようです。
また、ビタミンDは紫外線でも精製されます。
哺乳瓶は消毒する
わたしの経験では、消毒は行っていましたが、どのような菌がリスクになるのかは知りませんでした。
その菌は、サカザキ菌とサルモネラ菌が問題になるようです。
洗浄方法としては、通常の洗浄だけではバイオフィルムを形成しますので、消毒や食洗機の利用が推奨されています。
米国のガイドラインでは、ミルクを作る際には、手を洗う、哺乳瓶と乳首をよく洗う、室温で2時間以上放置されていたミルクは捨てるの3つが推奨されているそうです。
ミルクは乳児の場合、数時間おきで毎回毎回消毒と洗浄を行うのも大変です。
このあたりは、程度問題ですので、なるべく早く洗剤とブラシで洗い気になる場合には時々消毒や食洗機を利用するなどの対応で、気にしすぎず気を使う位のスタンスで良さそうです。
アレルギーを防ぐためには、離乳食は遅らせない
このあたりのアレルギー物質の摂取時期に関しては、近年大きく変化が起こっている領域であるといえます。
ピーナッツアレルギーが米国では問題ですが、早期摂取によりアレルギー発症が減少したというとても有名な研究結果があります。
もちろん3歳まではピーナッツは禁止と言われているように、そのままの形での摂取は、誤嚥といって気管に吸入してしまうリスクがありますので、潰したりすることで上手に摂取できれば、長期的にも健康によいとされています。
ただし、初回から数回までのアレルギー物質の摂取は、平日日中に行うのがベターです。
もし、アレルギー症状を発症したとしても、病院で適切な対応が取りやすいからです。
本来、医療へのアクセスは土日関係ないのですが、やはり土日はパフォーマンスが落ちる病院がほとんどです。
平日日中に与えることで、リスクヘッジを行い、安心して離乳食を進めていくことが重要だと思います。
離乳食開始時期はWHOガイドラインでは、早くて4か月、できれば6か月
卵は卵白に抗原が多く含まれいるそうです。
卵を茹でたあとに放置すると、黄身に抗原が浸透していきます。
そのため、離乳食としての卵の開始早期は、茹で終えたらなるべく早めに、黄身と白身を分けます。
そして、白身ではなく黄身から与えることでアレルギーのリスクを低くする事ができるようです。
WHOは離乳食の事を補完食という言い方をしています。
これは2際頃まで、母乳育児を継続するのを推奨しているからです。
母乳だけでは栄養が不足してくるので、卒乳ではなく、あくまで捕食であり鉄分はしっかり補う必要があります。
鉄分は生後6か月で蓄積された鉄は使い切ってしまいますので、鉄分の補充は重要です。
離乳食の日本の常識は世界の常識ではありません。
薄いお粥や具の少ないスープは栄養やカロリーが少なく、必要な栄養を満たすことが難しいとされています。
フルーツはジュースよりも、果物で
ジュースにすると繊維質が除去され、糖分が多くなります。
糖分摂取の増加は、亜鉛や鉄の不足との関連が示されています。
ジュースに限りませんが、少しずつのませることで、虫歯の原因にもなります。
脱水予防に少しづつ飲む場合は、麦茶や水がよさそうです。
胃腸炎の際には、りんごジュースを水で薄めたものが好ましいとされています。
フルーツジュースは、糖分過多のため、吸収しきれずに下痢の原因となることがあります。
牛乳は骨の健康を考慮するなら飲んだほうがよいとされています。
また、身長も伸びるという研究結果がありますが、一方で年を重ねた後に骨折も増加するという報告もあります。
イソフラボンは生殖機能への影響もあるため、積極的には勧めらませんので、豆乳をのむなら、牛乳の方がよさそうです。
塩分は2歳以上の場合、カロリー比で大人と同じ比率になるようにします。
WHOの推奨では、塩分1日5g以下です。
成人の場合1日5gはきついですが、子供の場合は摂取量が少ないため比較的味付けのバリエーションは増やせそうです。
とはいえ、日本人成人で1日12g以上は摂取されているようですので、日本人にとっては減塩はテーマの1つであると言えます。
第4章「寝かしつけ」は頑張らなくていい
生後3か月〜小学校入学までの睡眠時間は、10〜12時間以上が目安とされています。
日光は重要
カーテンを明けて、日光を浴びることでメラトニンの分泌が促進されます。
そのため、起きたらカーテンを開けて日光を浴びることは、睡眠と覚醒のリズムをつけるためには良いとされています。
わたしも持っていますが、光による目覚まし時計を利用すると便利です。
逆にスーパーやコンビニでは、夜でも明るいので夜に行くと目が覚めてしまう可能性がります。
仕方ない場合もありますが、子どもと一緒に夜のスーパーに行くよりは、ある程度は食材をストックしておいたほうが良いのかもしれません。
理想としては、日が沈むに従い、徐々に暗くなるように調整します。
夜は間接照明など、直接明るい光が当たらないような工夫が必要です。
早朝明るくなることで早起きしてしまう場合は、遮光カーテンを利用するのがおすすめです。
しかしこの方法での注意点は、光を浴びないため体が覚醒状態に移行しない可能性もあります。
そのため、覚醒後はカーテンをあけるか、光による目覚まし時計の利用も検討の余地があると思います
子供の寝かしつけにはルーチンが重要
ねんねトレーニングとは、一人でねるための練習のことです。
いくつかの研究では、ねんねトレーニングは夜泣きや寝付きの悪さの改善に効果があったとされています。
泣いたら抱っこするべきか
親の対応パターンに一貫性がないと、不安定な愛着パターンを持つようになります。
泣いたらすぐに抱っこすることが必ずしもよいことではなさそうです。
フランス式が有名ですが、数分間様様子を見ることで再び入眠に入るパターンが多いとされています。
これは、赤ちゃんの場合は覚醒と睡眠のリズムができていないため、寝ぼけている状況とも書かれている本もあります。
そのため、泣いてもすぐには抱っこせずに、しばらく様子をみてからの方が、勝手に再びに入眠に入る可能性が高いようです。
乳幼児突然死症候群(SIDS)
もはや常識かもしれませんが、うつぶせ寝は乳幼児突然死症候群のリスクになるとされています。
特に低年齢の方は、うつぶせ寝はリスクと言われています。
厚労省のおすすめは、仰向けに寝かせる、できるだけ母乳で育てる、禁煙する3つをあげています。
喫煙だけで、子供の突然死率は増加するといわれています。
空気清浄機の効果も囁かれており、空気の流れの淀みなどの問題もあるのかもしれません。
いずれにせよ、今まで元気だった赤ちゃんが原因不明の突然死に至る病気(そもそも病気なのか?)ですので、予防可能なものは予防したいものです。
とくに両親が喫煙者の場合は、禁煙外来に通いましょう。
ちなみに、新型コロナウイルス感染症の場合は、うつぶせ寝が効果的かもしれないといわれています。
また、重症の肺傷害でARDSという病気がありますが、その病気の中でも重症の部類に入る人には、うつぶせ寝である腹臥位療法が有用であったとする研究結果もあります。
うつぶせ寝の場合は、酸素を取り込む機能は良くなります。
しかし肺とは別で、気道とよばれる口や鼻などを塞いでしまう状況に乳幼児が陥る可能性があるのだと思います。
お亡くなりになられましたが、日野原重明先生は100歳を超えてからもうつぶせ寝で寝ているのは有名な話です。
そのため、乳幼児に限っては良くないという認識で良いのだと思います。
寝る前のルーチンは決めておく
子どもにとって、寝る前のルーチンは催眠術とおなじで、この儀式をしたら眠くなと脳に憶えさせることが必要です。
一度ルーチンを決めたら、守り抜く努力が必要です。
例えば、「今日だけ」などの逸脱する行為は、基本的に行わないと書かれています。
ルーチンから逸脱する行為は、要求をエスカレートさせることに繋がります。
大人も同じかもしれませんが、きちんと線引は決めておくほうが、子どもと親双方にとって良さそうです。
また、夜寝るのが遅くなっても、朝は毎日同じ時間に起きることがポイントです。
朝起きるのが遅いと、肥満が多い傾向になるそうです。
就寝後は泣き叫ぶこともありますが、深い睡眠の間に中途覚醒することが問題なので、なだめたとしても理解することが出来ないとされています。
その時の状況が理解できないということは、ずーっとパニック状態ということですので、収まるまで待つしかなさそうです。
一度明るい所でリセットしても良いかもしれませんが、経験上何してもダメなときの方が多い気がしています。
第5章:「体罰」が子供の脳を傷つける
テレビや読書の効果
テレビの利用は、教育的コンテンツであれば将来的な成績に影響するなどの研究もあります。
よく東大生は、LEGOなどのブロック遊びが好きだったなどと紹介されていますが、ブロック遊びは子どもの発達によい影響を与えるとされています。
絵本は読み書きに必要な能力を総合的につけることに繋がりますので、意図的に読書への興味をもたせるように本を読んであげるのが良さそうです。
読書は、物事を学ぶ力を身につけるために、必要不可欠な能力を身につけるとされていますので、本は身近にある環境で親も面倒がらずに読んであげることが必要なのだと思います。
本をたくさん読んでいた子どもは、話を理解する能力が高く、語彙力も高いとされています。
普通に考えて、話すのはある程度語彙数も限られていますが、書いたり読んだりすることで、普段会話では使わないような表現も用いますので、いろんな観点から読書は効果的であると思います。
また、音読することで会話の能力も鍛えられそうです。
親は、そのまま読むだけよりも、文字を拾いながら読んだり、簡単な質問を行いながら読むことで総合的能力を伸ばせる可能性があります。
自宅にすぐ絵本を取れる環境にあったり、読み聞かせの回数や種類が多いほど絵本を読んでいる時に脳が活発に活動しているとされています。
体罰
体罰はしつけのための意図的なものであっても、子どもに悪影響を与えます。
体罰は子どもを攻撃的にしてしまうとされています。
当然でしょうが、体罰を受けていれば自分も体罰を与えるのが当然という風潮になるのは致し方ないのだと思います。
しかし、近年は体罰が問題化されており、部活等での行き過ぎた指導が時に問題となっています。
いわゆる昭和の時代は、体罰が当然のこととして認識されていました。
先生による体罰で流血することなど、珍しいことではなかったのだと思います。
しかし現代では、体罰の有害性が指摘されていますので、この体罰をどこかで断ち切ることが必要になります。
断ち切るためには、教育を継続していくことが必要です。
適切な教育を受ければ、少なくとも体罰が悪いという認識はできるようになります。
そのような社会的風潮を強化することで、体罰をなくすことが必要です。
体罰を受けると、将来的にいじめの加害者や被害者になる可能性があるとされています。
これも納得ですが、体罰は脳を萎縮させます。
当然ですが、恐怖体験は頭の奥底に眠っていますが、時としてその記憶が蘇ります。
そのため、正常な反応だと思いますが脳のある部分の機能を低下させることで、人体が体罰に対して反応しているのだと思います。
DVを目にしただけでも、脳の萎縮が起こるとされています
つまり、見たくないものを見ないようにするために、脳の形態が変わってしまうという事になります。
運動
運動は肥満の予防や、メンタルヘルスにも良い影響を及ぼすことが明らかとなっています。
わたしたちもそうだと思いますが、一日中家の中にいると体調が悪くなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に2020年は、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に伴う自粛によるStay at homeの影響もあり、問題となっています。
また、高齢者であれば自粛自体が、脳機能と身体機能を低下させることでの入院も増加している用に思います。
運動は、うつや不安障害などに意図的な認知行動療法としての介入としても有用です。
精神の健康と身体の健康は表裏一体で、相互に作用しているといえます。
Covid-19では、リモートワークとして自宅での勤務を行う方も増えたと思います。
会社に出勤することは、感染症のリスクがありますが、おなじように自宅にずっといるもの精神身体的にも不利益があるのではないかと思います。
第6章:予防接種、手洗い、風邪予防の新常識
現存するエビデンスより、ワクチン反対派が未だに存在するのは不利益しかいないような気がしています。
必要なワクチンは、必ず摂取することが個人や家族を守り社会を守ることに繋がります。
ワクチンはなるべく同時に摂取した方が効率的で効果的とされています。
ただし、生ワクチンの場合は、間隔を27日以上空ける必要があります。
子どもはたいてい注射が嫌いです。
そのため、嘘をつかずに子どもに対しても、事前にきちんと説明することが必要です。
プリパレーションといって、事前の説明は不安の軽減につながるとされています。
説明を受けただけで痛みの軽減効果があったという研究もあるようです。
痛みが生じる処置の直前では、気を紛らわせることが痛みの軽減に効果があるとされています。
わたしの経験では、子どもにとってクリニックが悪いイメージにになることも問題のような気がしています。
例えば、クリニックでは痛いことされる場所と認識されてしまえば、行きたくないのは当然でしょう。
とあるクリニックでは、受診の後にちょっとした景品もらえる所があります。
そのため、子どもは注射は嫌だけど、その景品目当てなら行きたいと言います。
子どもにとって、クリニックが楽しい場所になるということは、これからの時代必要なことですし、なにより双方にとっての利益が大きいと思います。
泣き叫びながら注射をするのも、医者・親・子どもそれぞれにとって、不利益しかありません。
子どもに限りませんが、事前の説明は非常に重要だと思います。
手洗い
手洗いは1847年の産婦人科医であるゼンメルワイス氏より始まったのは有名な話です。
手洗いの時間は、むやみに延長しても意味が無いため、20秒を目処に行えばよいとされています。
また、殺菌成分入りの石鹸を利用しても、普通の石鹸よりも病気が減ることは証明されていません。
殺菌成分入りの石鹸を使用するよりも、手洗いの回数を増加したほうが効果的とされています。
ジェット式ハンドドライヤーはウイルスの飛散が問題
このあたりの概念は、Covid-19でとても有名になりました。
手洗いは、医療を行う人々にとって最も基本的かつ最重要事項です。
マスクばかりがクローズアップされていますが、とにかく手洗いです。
最近事務職の方が「手を洗いすぎるといい菌も殺してしまうからダメよ洗い過ぎは〜」って言っているのを聞きました。
Covid-19対策でみんな頑張っているだけに、卒倒しそうになりました。
正しい知識を持って、感染症に望むことで感染症の予防が可能となります。
感染症にかからなければ、感染症を媒介することもありません。
また、外出時の手洗いの代用として、ウエットティッシュがよく使用されますが、除菌効果は期待しないほうがよさそうです。
ウエットティッシュは、物理的汚染を除去することを期待して使うと割り切ったほうが良さそうです。
というのも、適切なアルコール含有量でなかったり、そもそも拭き残しも多くなりますので、ウエットティッシュを使って手洗いの代用とするのであれば、手指消毒剤を使用した方がよいと思います。
ウイルスに抗菌薬は効かない
これは、専門家にとっては周知の事実です。
開業医の先生を悪く言うつもりはありませんが、クリニックを受診すると未だに多くのクリニックで抗菌薬が処方されています。
しかも、第3世代セフェムやキノロンという多くのバイ菌を殺してしまう抗菌薬が処方されることが比較的多くあります。
近年薬剤耐性菌の問題も顕在化してきており、国家的戦略の一部として抗菌薬の適正使用に警笛が鳴らされています。
必要な時に必要な抗菌薬を使用することで、抗菌薬は最も効果を発揮します。
不適切な場面で使用しても、有害事象(副作用)ばかりが前面に出てしまいます。
アレルギー
湿疹の治療はアレルギーの予防につながるとされています。
皮膚から抗原が侵入することで、アレルギー物質の摂取量が増加し、アレルギーを発症してしまいます。
アトピー性皮膚炎の方は、喘息やアレルギーを合併する確率が多いと思います。
歯のケア
乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯になります。
当然ですが、親に虫歯があると子どもにも伝染しやすいとされています。
そのため、親も歯の定期的なケアが必要です。
米国では、歯を大切にするとされています。
虫歯が多くあれば、虐待が疑われる程だと聞いたこともあります。
特に永久歯は、この先80年以上使うことを前提に親がしっかりと介入してあげる事が必要です。
ミュータンス菌が原因とされていますので、唾液等が接触する機会を減らすことも有用とされています。
一方で、完全に唾液が接触する機会がなくなれば、EBウイルス感染症という、別名Kissin diseaseという病気にかかる可能性があります。
何事も程度問題だと思います。
歯磨きは、1日2回が推奨されています。
フッ素を効果的に使用することが推奨されています。
フッ素は、歯科医院で塗布する方法もありますので、3か月〜半年を目処にケアしてもらうのがよいと思います。
また、フッ素は歯磨き粉にも含有されています。
とくに寝る前には、すすぎを5−10mlの少量の水で1回だけ行うことで、フッ素の定着を促すとされています。
まとめ
子育てには、いろんな意見があります。
現存する研究をふんだんに使用した、本書で紹介されていることは、どれも科学的に裏付けされてたものです。
科学的に裏付けされているということは、紹介されている方法を実践することで効果を示す可能性が、偶然では説明できない確率で高いということです。
今まで読んだ本で、最も有益な情報が多かったので、是非読書をおすすめします。