結論
現代におけるほどんどの病気は、老化が原因
老化が原因であれば、病気そのものではなく、老化に対する治療を行ったほうが有益
はじめに
この本は、ハーバード大学の教授が書かれた本です。
世界最高学府の1つといえる、ハーバード大学ですが、あくまでも個人の意見であるということには注意が必要です。
例えば、この本はトンデモ本だとは思いませんが、日本では大学所属の医師ですら、トンデモ本がベストセラーとなり社会問題となっています。
そのあたりは、読み手個人のリテラシーの問題も含んでいますが、やはりメディアの影響も大きいと言わざるを得ません。
例えば、視聴率1%は通常、打ち切りとなる数字と言われています。
しかし、この視聴率1%という数字の裏ではは、100万人が視聴しているとされています。
Youtubeで100万再生といえば、有名Youtuberの類に入ります。

日本人の多くの情報は、テレビにまだまだ依存していると言えるでしょう。
研究論文の場合は、基本的に客観的に書くことを求められます。
医学論文の目的は、通常あくまでも学術的進歩にあります。
ところが商業誌の場合の主な目的は、売ることです。
テレビの話と同じですが、商売にならなければ、成立しませんのである程度売れるように創る事が必要になります。

もっとも、近年は学術論文ですら、企業広告に収入を依存している状況ですので、そのあたりも加味して論文を読む必要があるかもしれません。
老化は病気なのか
日本に限りませんが、医療費のほとんどは65歳以上の高齢者に使われています。
高齢者は、これまで国を支えてきた人材ではありますが、その多くは社会的貢献は低いと言わざるを得ません。
そして、社会的貢献度の低い高齢者に対して、さらに医療費として余計な負担がかかってしまうという、支出増大のスパイラルに陥ってしまいます。
〜年齢階級別医療費〜
この負のスパイラルを断ち切るにはどうすればよいのでしょうか。
たとえば、心筋梗塞という病気があります。
近年は、若年者でも増加傾向ではありますが、一般的に高齢者の病気です。
心筋梗塞を疑う場合は、リスク因子の検討を行いますが、それらしい症状を呈していて、65歳を超えているというだけで冠危険因子ありとされていまいます。
つまり、症状を呈する65歳以上の高齢者の場合は、心筋梗塞では無いということの証明を行う追加の精査が必要になります。
そして、心筋梗塞と断定された場合は、一般的にカテーテル治療が行われます。
この様な状態は、病気への介入を行っている現代の治療法です。
ところが、この様な個々の病気に対する治療介入は、コストパフォマンスが悪いと著者は述べています。
ここで挙げた高齢者の心筋梗塞の例であれば、心筋梗塞だけにしか介入していません。
高齢であるということは、それだけで他の病気にもなりえます。
代表的なのが、死因のトップ5では無いでしょうか。
がん、心血管疾患、肺炎、脳卒中、老衰がトップ5のようです。
これらの病気は、一般的に老化によるものです。
つまり、老化しなければこれらの病気にかかる可能性は極限まで減らせます。
我々は診断の際、事前確率というものを算出します。
これは、ベイズの定理を応用したものですが、事前確率に年齢を加味することで、考慮すべき診断のバリエーションが大きく変わってきます。
例えば、若年女性の胸痛で心筋梗塞である確立は極めて低いとされています。
特発性冠動脈解離などはあるでしょうが、純粋な心筋梗塞の可能性が低い場合は、事前確率が低いということになります。
これが80歳女性だとどうでしょうか。
一気に、心筋梗塞の可能性が上がります。
このように、年齢というファクターは病気において、極めて重要なファクターと言えます。
若返る/老化しないようにするために
本書では、これらのテーマに関して多くの事項が書かれています。
例えば、糖尿病治療薬であるメトフォルミンや、抗血小板剤であるアスピリンなども挙げられています。
これらの薬剤は、希望は持てるものの、今現在飛びついて服用するほどの根拠は、ありません。
ただ、今後の知見によっては、それらの薬剤が老化防止の標準治療となる可能性もあるかもしれません。
あくまでも「かもしれません」というところは強調しておきます。
著者自身も、あとがきで書いていますが、あくまでも推奨はしていないと書いています。
ただし、著者はいろんな知見より、日常に取りこんでいると。
運動に関しても、老化防止には重要なファクターとされています。
これは、世間に流布した概念ですので、積極的に行うべきといえます。
運動に関しては習慣化するのが、最も手っ取り早いと思います。
例えば、電車では立って移動するとか階段を使う、などの事項です。
他にも、興味深いサプリメントの話などもあります。
これは、普通に市販されていますので、試してみる価値はあるのかもしれませんが、あくまでも著者が推奨しているというだけで、科学的妥当性を担保できないものであり、現時点では推奨されるべきものとは言えません。
まとめ
人生100年時代を生き抜くための本です
病気への治療ではなく、老化への治療を行うことで、現代の病気は減少します
今からでもできる老化防止への取り組みは、運動であることは事実と言って良いとおもわれます