著者:百田尚樹
百田さんの著書は、とてもおもしろいと感じます。
わたしは最近、小説はあまり読まないのですが、百田さんの本はなぜか気になって読んでしまいます。
何がすごいのかというと、例えば代表作である「永遠のゼロ」では、戦争に関することを事細かに調べ上げ書かれています。
「ボックス」では、同じクオリティで徹底的にボクシングの事を調べ上げて書いています。
同じく「地上最強の男」もボクシングの本ですが、まるで参考書のように書いています。
かと思えば、「日本国記」では日本が産まれてからの歴史を、時代ごとにかかれています。
美容整形の「モンスター」、蜂が主人公の「風の中のマリア」など、とにかくそれぞれが全くの異なる領域なのに、全てにおいて専門家レベル以上のレベルでかきあげています。
他にも、囲碁や出光を題材としたもの、ほんとに幅の広さと、奥の深さは興味深いです。
より広くより深く
この言葉は誰が言ったのかは知りませんが、総合診療を生業としている人はこの辺を目標にしています。
臓器別専門家は、ある臓器の中でも更に細かい分類の専門であることが、その人の特異性を向上させます。
例えば、筋骨格を扱う整形外科では、整形の分野の中でも、膝が専門といった具合です。
横断的診療科と縦断的診療科
横断的診療科とは、臓器専門としない診療科のことです。
麻酔、救急、集中治療、感染症、総合診療などなどです。
縦断的とは、脳神経外科、消化器肝臓内科など、特定の臓器に特化した診療科になります。
百田氏は、縦断的でもあり横断的でもあります。
つまり、1つ1つの奥がとても深いです。
その割に、守備範囲も広大で新書が出るたびに、果てしないとおもわされます。
野良犬の値段
この本は、百田氏初のミステリー小説になります。
わたしも元々は、東野圭吾氏の本など読んでいましたので、基本的にミステリー系は好きです。
この本には、いくつかのメッセージがあります。
普通、どの様な本でもメッセージはあるのですが、そのメッセージがわかりやすく書かれています。
フィクションなのですが、実際にある組織と酷似した内容をもってかかれていますので、社会的に対するメッセージがたくさんあります。
ミステリーをよみつつも、社会情勢を見据えたメッセージを自分なりに解き明かすのも、また社会学的な面白さがあるような気がしています。
この様な本が書けるということは、ミステリーの作り方もさることながら、日頃の社会へのメッセージを著者の中で強く持っているからだと思います。
ときに炎上と言われる自体にもなりますが、炎上を起こすほどのメッセージは、社会に対するインパクトを持ちます。
反応するだけの妥当性があるということです。
これが迷惑系ユーチューバーのように、何のメッセージ性もなければ、社会は反応すらしません。
一言で言えば、面白いので是非読まれることをおすすめします。
ゆっくり読んでも数時間で読み終える分量です。
まとめ
- この本は、ミステリー小説です
- そのなかでも、メッセージ性が散りばめられています
- そのメッセージを自分なりに、読み解くのもおもしろいのではないでしょうか