結論
- 結論から話す
- たとえ話は有効
- 声は聞こえるのではなく、届けるのが大事
はじめに
端的に話すことは極めて重要です。
プレゼンを意識すると、冗長なプレゼンのほとんどはカットできることに気づかされます。
冗長なプレゼンは、大抵ダラダラと時間経過を追って話が続きます。
そして、最終的にようやく結論にたどり着きます。
わたしの場合は、医療業界で勤務していますので、プレゼンを聞く機会も行う機会もそれなりにあります。
ナースの場合だと、もはや死後なのかもしれませんが、申し送りが行われます。
申し送りは、大抵どうでもよい事を話している割に、時間ばかりがかかるということで、近年は廃止されている施設がほとんどかもしれません。
代わりにハンドオフなどの、定型化された申し送りなどに代替されてきているのではないでしょうか。
もしくは、そもそも申し送りはなく、カルテ参照だけという場合もあります。
本来は、カルテは全ての事象を記載しておく必要がありますので、カルテから全て伝わる必要があります。
カルテもそもそもはプレゼンを、文字にしたものです。
プレゼンは口頭ですので、適当に喋ってその場を凌げば良いのですが、カルテの場合はきちんと残りますし、誰でも見ることができますので、より慎重に言葉の選択が必要になってきます。
カルテも、プレゼンも基本的に伝えるという目的は同じです。
つまり、端的であることが重要です。
これが、今回の本のタイトルである「1分で話せ」という、極限まで本書を突き詰めた内容をタイトルにされている印象を受けました。
タイトルと本の内容にギャップがある場合がありますが、本書は極めて端的にタイトルとして表現されています。
結論から話す
医療界では、時に時間を惜しむ状況が生じます。
例えば、ST上昇型心筋梗塞の患者さんでは、冠動脈拡張までを病院到着から90分以内という目安があります。
これは、あくまでも目安であって目標を定めているということは、早ければ早いほどよいということになります。
通常は救急で患者さんを受けて、迅速に診断をつけて治療にたどり着きます。
治療は専門の医師(日本だと循環器内科医)に引き継ぐ必要が生じます。
この1分が惜しい状況では、まさに1分で話せということになります。
例えば、「53歳男性の患者さんで、糖尿病と高血圧の既往歴があり、本日起床時から胸痛をみとめたため救急要請されました。レントゲンでは特記すべき所見はなく、12誘導心電図ではST上昇を認めました。採血結果では、トロポニン結果待ちです。」
こんな感じでしょうか。
正直このくらいでも十分まとまっているとは思います。
ただし、結論が後に来ていますし、結論を伝えていません。
この場合は「ST上昇型心筋梗塞疑いの患者さんの診察依頼です」というのが、結論になります。
その結果「今すぐ駆けつけます」となれば、駆けつけてから自分が行った処置・検査をプレゼンします。
電話先で、経過を伝えてほしいようであれば、そのまま診断に至った根拠を伝えます。
心筋梗塞の場合は、胸痛・心電図異常・血液バイオマーカー(トロポニン)陽性の3つのうち2つ以上を満たす必要があります。
1分で話せの表紙には、結論→根拠→例えば、といった順序が書かれています。
今回例にあげた心筋梗塞疑いの症例の場合では、結論→根拠までで良さそうです。
このように、結論から述べる、そしてその結論に対しての根拠を続けるといった具合です。
さらに、よりわからない人の為には、具体例で更に補足します。
この補足も、各個人の経験や体験に準ずることであれば、よりスッと入ってきやすいです。
例えば、釣り好きだったとします。
いろいろなことを、釣りに例えて具体例で示すとわかりやすくなります。
これが、釣りもしたことなくて、電車好きだった場合は、当然電車に関連した例えの方が前のめりになり理解してくれるかもしれません。
プレゼンは声量ではなく届けること
これは、わたしの理解と少し異なるたとえでしたので、すごく腑に落ちました。
今まで、プレゼンで最も大事なことは、対象者に聞こえることだと、わたしは考えてきました。
ところが、本書では「届けること」と書かれています。
これは、まさに届けること、その結果対象者に行動変容を促す関わりが目的です。
伝えるのではなく、伝わる事です。
本書では、営業の人の前のめりな営業スタイルについても言及されています。
モノを売ろう売ろうとすると、自分だったらあまり買う気が削がれるという方は多いのではないでしょうか。
でも、実際の営業職ではこのスタイルの方がとても多いと書かれています。
子供に「勉強しなさい」と伝えても何の行動変容も起きません。
勉強してその結果をもってきなさい、丸付けをしてあげます。
となれば、子供にとっては丸付けをしてもらえるということで、行動変容に変わる可能性が出てきます。
つまり、いくら子供に勉強しろと言い続けても、その言葉は単なる単語に過ぎず、コトバとして伝わっていないのです。
これは、日本語がわからない人に、必死に「勉強しなさい」といいづつけているのと同じロジックなのだと思います。
ほかにも
敢えてスキを作ることや、プレゼントは翻訳であるということ、問題点を3つに絞ることの重要性などなど、多数のティップスが落ちています。
1分で話せば、医療職者にこそ是非読んでいただきたい本であると感じました。
また、この本は1分で話せ②という形で、続版が出ています。
本書が良かっただけに、続版も購入してみようと思います。
まとめ
- 結論から話す
- 結論の後には、その根拠を述べる
- なるべく、具体例を交えて説明すると、受け手としては入ってきやすい
- 全ては受け手に伝わるためであり、伝わるとは行動変容を起こすアプローチ