目次
はじめに
この本は、いつものごとくKindle Unlimitedで読みました。
Kindle Unlimitedとは、月額約1000円で規定された沢山の本が読めるAmazonのシステムです。
幸福学はNHKの白熱教室という人気番組で放送されたものです。
その番組をを本にしたものが、本書です。
著者のエリザベス・ダン氏の事はわかりませんが、白熱教室に出演するということは、国際的にも有名な方であり、その分野での世界のトップと言っても良い方なのだと思います。
日本の幸福度ランキング
2013年の国連の国民幸福度調査では、日本は43位でした。
1位はデンマークで、アメリカは17位だったそうです。
日本を客観的にみれば、生活水準や治安など良い面はたくさんありますが、なぜ幸福感を感じることができないのでしょうか。
先の結果からみれば、アメリカや日本など国内総生産(GDP)の高い国であるはずですが、軒並み幸福度の相対評価では低位となっています。
つまり、お金を貰えるだけでは幸福度は増えないということを示唆しています。
よくいわれることは、年収1千万円が1つの区切りであり、目標ですが幸福度が高いのは、年収800万程度という調査もあります。
宝くじの当選は幸福感へ影響を与えるか
例えば、多くの国民の夢でもある宝くじ当選ですが、宝くじが当選したとしても、幸福度は長続きしないことが示されています。
これも色んな説がありますが、その最たる要因はお金を無尽蔵に使ってしまうことによるもののようです。
一度に沢山のお金が入ってくることで、お金が無尽蔵にあると錯覚し、お金を使っているうちにいつの間にかお金がなくなってしまいます。
そうなると、当然ですが幸福度は長続きしないと言えます。
主観的幸福と客観的幸福
客観的幸福とは、収入など客観的に判断できる指標での幸福度評価のことです。
主観的幸福とは、率直に「あなたは幸せですか」という主観による評価のことです。
主観的幸福度を上げるためには
例えば、結婚や近親者の死去などの幸福度や満足度は、約2年間で元の水準にまで戻るとされています。
つまり、結婚後2年間は幸福ですが、2年間経過するとそれほど幸福とは思えなくなる方が比較的多いという結果もあるようです。
逆に近親者を亡くした場合も、約2年間で満足度は元の水準まで戻るとされています。
全ての方がこの結果に該当するわけではありませんが、幸福度とは実はそんな単純な話ではなさそうです。
幸福のレシピ
3つの材料が必要とされています
人との交わり(Social)
親切(Kind)
ここにいいること(Present)
これらを著者は、ケーキ作りの際の、卵・小麦粉・砂糖に例えています。
目の前の事に集中すると幸福度は高まる
例えば、旅行に行く事を考えているとすごく楽しいと思います。
でも、実際に言ってみると疲れたり大変な場合もあります。
それでも、実際に目の前の事(旅行)に集中している方が幸福なのだそうです。
「いまここにいる」という事は幸福度をもっとも高めるとされています。
今ここにいるわけではない、スマートフォンのLINE®などは、実際に今ここにいる存在ではないので、注意力散漫の原因となり、その結果幸福度を下げることに繋がるとされいてます。
スマートフォンは、なくてはならないものですが、適度に使う事が必要です。
使い方を間違えると、幸福も逃げてしまいかねません。
他のことを考えずに、「目の前の事に集中する」ということは、色んな意味で効果的な結論であると言えます。
モノより経験
これもよく言われていることです。
お金があれば、好きなものを買えます。
わたしも欲しい家電などあれば、買うまではワクワクしていますが、購入後は普通になります。
けれども、実物として残らない旅行などの体験は、いつまでも自分のこころの中に残っています。
モノの購入は、一時期しか幸福度を実感できないのに対して、体験は今後の自分の意思決定にも繋がってくるほど、幸福度における重要な事項であると言えます。
とはいえ、例えばロボット掃除機に夜掃除してもらって朝綺麗になっていると、これはこれでちょっとした幸福感を味わえるような気もしています。
他人のためにお金を使うと幸福を感じることができる
ボランティアも基本的には、無償で行うものです。
ボランティアも幸福度を上げるとされています。
金銭を自分以外のために使う事も同様に、幸福度を上げるとされています。
国際的にみても、有名人は寄付に使う方もたくさんいます。
これは、子どもでも同じようです。
ちいさな子どもはお金の価値はまだわかりませんが、自分のお菓子だということはわかります。
そのお菓子を、他人に分け与える事ができるようであれば、与える喜びを実感できたという報告もあるようです。
幸福感と仕事は大きな関係性がある
仕事は、人生において大部分を占める中心とも言える存在です。
仕事を有意義なものとするためには、考え方次第だといいます。
例えば、大きな船の一部を作っているだけと考える人がいるとします。
一方は、大きな船のドアの一部を作り、さらにその船が実際に就航された際にお客さんが実際に旅行している際の状況を思い描いて、お客さんのためにそのドアの一部を作り上げていると考えるかの違いです。
幸福感へ与える影響は、その考え方次第で、自分のために行う仕事なのか、他人のために行っている仕事なのかと考えかた次第であると言えます。
考え方・捉え方次第で幸福感は異なる
コップの中のジュースが半分しかない、と考えるか半分も残っていると考えるかの違い。
これは、全く同じ事象なのですが、捉え方を全く異なる方向から見ています。
捉え方が異なるだけで、人の幸福感は大きく変化します。
前向きに捉えることで、幸福感は増加しますので、意図的にトレーニングを繰り返す事が必要です。
幸福は伝染する
ムードメーカーのような存在の方がいれば、その周囲は割と明るくなります。
逆に、ネガティブな雰囲気も伝染します。
高圧的な態度を取ることで、職場の雰囲気が悪くなります。
その結果、病院の場合だと死亡率が増加したという報告もあるようです。
雰囲気というのは、重要で多くの方の職場でも問題は人間関係です。
そのため、職場の上司は雰囲気を良くするために全力を注ぐべきと言えます。
死亡率という臨床指標
医療現場で最も重要なマーカーが、死亡率です。
死亡というイベントは最も少ないので、死亡率改善効果があるということは、インパクトがあります。
極論ですが、全ての研究は死亡率改善効果を示すために行っていると言えます。
職場の雰囲気が悪い事で死亡率が増加するのであれば、世の中の多くのスタディはスタッフの雰囲気という交絡を変数に含めるべきかもしれません。
まとめ
- 幸福感は、同じ事象を好意的に捉えることで改善する。
- 時には、他人のためにお金(ボランティア含め)を使う事で幸福感は向上する。
- 幸福感は、伝染する。
- 「今」目の前の事象が最も大切(スマートフォンなどは今目の前ではないので幸福感を下げる)。