はじめに
この本のタイトルは、個人の名前です。
世界一の企業と言ってもよい、トヨタ自動車の社長(CEO)の名前です。
この社長ですが、名前が「豊田」ですので、純粋な豊田の血筋を持つ社長です。
よくあるのは、同族経営はあまり有用な結果を残せないことが多いと言われています。
同様の経営利益を上げ続けるのは至難の業です。
ところが、この豊田章男社長に変わってから、「トヨタ」の車は明らかに変わったような気がしています。
そもそも、社長自らレーシングスーツを着て、自らの手でハンドルを握りレースに出場するという、見方によっては異端児とも言える存在です。
そのため、賛否いろんな意見があるようですが、個人的には社長に必要なのは「成果」こそが全てだと思っています。
つまりは、「会社の存続」こそが社長の役割です。
レースに出場したりするのは、一見パフォーマンスのようにも映るでしょうが、成果として利益を上げ続けていますので、豊田章男氏の経営哲学は、今の所大成功と言えます。
わたし自身、車は割と好きな方ですので、一時期のトヨタ自動車はつまらない車を創るので、買いたいとはあまり思っていませんでした。
しかし、最近のトヨタの車は、スタイリッシュで車本来の在り方を追求しているような気がします。
その結果が、利益に直結しているのではないでしょうか。
ユーザーと、売り手のマッチングこそが全てといえます。
医療の場合
医療の場合だと、初期研修医のマッチング精度があります。
これは、研修医をほしい病院と、その病院に行きたい研修医がマッチするという精度です。
すなわち、人気病院ではアンマッチとなり、次の病院へ研修病院を変更しなければなりません。
このような人気病院の様な経営を、トヨタ自動車は行っていると言えます。
他にも、医療系の例えですと医者ー患者関係でも顕著に現れます。
症状をなんとかしてほしい患者と、診断をしたがる医者だと、患者さんのニーズはアンマッチとなります。
全てを患者さんの言うとおりにするわけではありませんが、満足度もある程度は診療には必要になります。
このあたりは、感情・期待・解釈・影響といわれる、かきかえという概念があります。
かきかえモデルで抽出された問題は、さらにDisease-Illnessモデルが用いられます。
Diseaseは病気で、Illnessは疾病になるのでしょうか。
病院だとどうしても、Diseaseに偏重しがちですが、患者さんが求めているのはIllnessへのアプローチであることが多いです。
話がだいぶそれましたが、売りては自分たちの売りたいものを売りますが、書いてのニーズも非常に重要ということになります。
現場至上主義
この本を読んで感じたことは、ヒントは現場に落ちているといいう事でした。
例えば、これほどまでの大企業の社長が向上に出向くことは、一大イベントであることが一般的なようです。
ところが、豊田章男氏は事前連絡をすることで、通常の業務とは異なる情景になる、ということをわかっているので、敢えて事前連絡なしで訪問するそうです。
その影響で、セキュリティの関係で入り口で車を止められることもあるそうですが、とても興味深いエピソードの1つといえます。
どの様な仕事でも、モノづくりは現場で行われます。
例えばそれが、ITなどでも同様です。
Googleは仕事とは別に自分のための時間があると聞いた事があります。
この時間を有用利用することで、生産性を高め、いろいろなInnovativeなIdeaを基にCleateすることを実現しています。
この発送は、どの様な企業にでも必要な発想です。
同じ時間で、どれだけの生産性を挙げることができるか、というのは至上命題です。
これだけの時間働いたから、お金をくださいというのは本来間違っています。
これは医療業界でも同じです。
手術を10時間で行うのと、5時間で行うのでは、圧倒的に後者のほうが生産性が高いです。
しかし、5時間で手術を終わらせることで、術後の合併症が増加するようであれば、トータルでの生産性は低下します。
そこで、この本には書かれていませんが、トヨタ式カイゼンが有用になります。
合併症を繰り返す手術を、毎回行っても、結果は見えています。
であれば、何が問題かを明確にし、その問題点に対しての介入を行うことで、成果は変わるはずです。
成果が変わるのであれば、さらなるカイゼンをめざし、先の例では4時間で手術を終え、さらに合併症の減少も成果として提示できる様になります。
ほかにも
ほかにも、社長以外にも参考になる事が多数書かれています。
スポーツカーは通常、速さだけを追求しがちですが、街中も当然走りますので、街中を走るときも気持ちよく乗れる車造りなど、とても参考になりました。
車好きな人は特に面白く読めるでしょうし、車好きでない人でも、巨大企業でかつ前進し続けるトヨタの社長の在り方を体感するうことできることでしょう。